今年も北極海の海氷が、融解期を迎えています。
昨年は、日本が猛暑に襲われたお盆の8月15日に、北極の海氷面積がそれまでの最小面積記録を更新し、その後9月24日には、観測史上最小面積(425万平方km)を記録したことをご記憶の方も多いでしょう。
今年は、昨年ほどの速いペースでは減少していませんが、それでも史上2番目に小さい面積を保ちながら、徐々に融解しています。
今年の夏期の海氷融解のペースが、昨年よりも遅い理由の一つとして、今年は、日照時間が長くなる6-7月の天候が悪かったことが挙げられます。昨年は、北極海のアラスカ寄りの海氷上で6月から異常な晴天が持続し、7月に入ってから急激に海氷面積の減少が始まりました。しかし、今年は、6月から曇りの日がつづき、日射による海氷表面の融解がやわらげられたと考えられます。
しかしながら、"今年4月の海氷状態"を見ると、北極海の海氷は、年々薄く、もろい状態へと変化を遂げてきている様子が分かります。この夏の海氷も、一見すると曇りがちの天候によって全体の融解が遅くれているように見えますが、詳細に見ていくと、北極海のあちらこちらで、海氷に隙間ができ始めている様子が分かります。
右の画像は、JAXAが開発した高性能マイクロ波放射計AMSR-Eというセンサが今年の8月17日に観測した北極域の画像で、白く見えているのが北極海に漂う海氷や一部の雲を表しています。北極点に近い東経140度北緯85度のあたりの海氷域にまで、隙間(黒くなっている部分)ができている様子が伺えます。
融解にともなう海氷面積の縮小は、例年、9月半ばまで続きます。しかし、8月下旬以降は、北極域の気温が下がり、夏に融けてぬれていた海氷の表面も再び凍り始めるなど、海氷縮小のペースは徐々に減速し始めます。したがって、通常であれば、今年の海氷面積が、昨年の面積にまで減少することはないでしょう。
しかし、上でも述べたように、今年の北極海の海氷は非常にもろい状態になっており、今後の天候次第では、さらなる海氷縮小が起きる可能性も否定できません。今後1ヶ月の間は、注意深い監視が必要です。