M. HORI: 2008年8月アーカイブ

海氷の減少速度は依然高いまま

|

北極の海氷は、8月下旬になっても、依然減少速度を鈍らせることなく減少を続けています。8月25日には、昨年更新された前最小記録(2005年9月22日の531.5万平方km)を今年も下回っています

Graph0_seaice_extent_rate_zoom_jpn.jpgのサムネール画像右図は、海氷モニタの海氷面積数値データから作成した、海氷が最も融解する6月から9月までの海氷域の面積の変化率(1日毎の変化量)をグラフにしたものです。

0より小さいマイナスの値は、海氷が減少していることを、プラスの値は、海氷が増加に転じていることを示しています。

例年、8月の中旬を過ぎると、海氷の減少速度は鈍り始めます(つまり、7月以降、変化率で-5~-10万平方km/日前後で推移してきたものが、例年であれば、徐々に0に向かって上昇を始めます)。しかし、今年の変化率は、グラフ上に赤い太線で示しているように、8月下旬になっても10万平方km/日を超える高い減少率が記録されるなど、依然高い減少速度で減少を続けています。

果たして、昨年の最小面積記録(425.5万平方km)にどこまで近づくのか、あるいは、越えてしまうのか。いずれにしても、北極海の海氷は、今年も、例年にない振る舞いを見せているといえるのかもしれません

融解期を迎えた北極海の海氷

|

今年も北極海の海氷が、融解期を迎えています。

昨年は、日本が猛暑に襲われたお盆の8月15日に、北極の海氷面積がそれまでの最小面積記録を更新し、その後9月24日には、観測史上最小面積(425万平方km)を記録したことをご記憶の方も多いでしょう。

今年は、昨年ほどの速いペースでは減少していませんが、それでも史上2番目に小さい面積を保ちながら、徐々に融解しています。

AMSRE_Sea_Ice_Extent_L_lr.PNG

今年の夏期の海氷融解のペースが、昨年よりも遅い理由の一つとして、今年は、日照時間が長くなる6-7月の天候が悪かったことが挙げられます。昨年は、北極海のアラスカ寄りの海氷上で6月から異常な晴天が持続し、7月に入ってから急激に海氷面積の減少が始まりました。しかし、今年は、6月から曇りの日がつづき、日射による海氷表面の融解がやわらげられたと考えられます。

しかしながら、"今年4月の海氷状態"を見ると、北極海の海氷は、年々薄く、もろい状態へと変化を遂げてきている様子が分かります。この夏の海氷も、一見すると曇りがちの天候によって全体の融解が遅くれているように見えますが、詳細に見ていくと、北極海のあちらこちらで、海氷に隙間ができ始めている様子が分かります。

P1AME20080817D_000INDEX0NP_lr.PNG

右の画像は、JAXAが開発した高性能マイクロ波放射計AMSR-Eというセンサが今年の8月17日に観測した北極域の画像で、白く見えているのが北極海に漂う海氷や一部の雲を表しています。北極点に近い東経140度北緯85度のあたりの海氷域にまで、隙間(黒くなっている部分)ができている様子が伺えます。

融解にともなう海氷面積の縮小は、例年、9月半ばまで続きます。しかし、8月下旬以降は、北極域の気温が下がり、夏に融けてぬれていた海氷の表面も再び凍り始めるなど、海氷縮小のペースは徐々に減速し始めます。したがって、通常であれば、今年の海氷面積が、昨年の面積にまで減少することはないでしょう。

しかし、上でも述べたように、今年の北極海の海氷は非常にもろい状態になっており、今後の天候次第では、さらなる海氷縮小が起きる可能性も否定できません。今後1ヶ月の間は、注意深い監視が必要です。